著者:Body Shop Honda

板金塗装のパテ選び、迷っていませんか?
小さな凹みやキズの補修をDIYで済ませたいと考える方は年々増えています。しかし、使うパテの種類を間違えると、塗装がうまく密着せず、かえって補修跡が目立ってしまうこともあります。特に樹脂バンパーや金属パネルなど、素材ごとに適したパテや硬化剤の選定は不可欠です。
「硬化にどれくらい時間がかかるのか」「研磨しやすいタイプはどれか」「ポリパテとラッカーパテの違いが分からない」など、細かな疑問もつきもの。補修範囲が広い場合は、速乾性や収縮率、塗布のしやすさ、さらには塗装との相性まで考慮する必要があります。
本記事では、板金塗装の現場で実際に使われているパテの種類や選び方を詳しく解説。失敗しないパテ選びの手順や、硬化時間と作業時間の目安、補修後の仕上がりに差がつくコツまで余すことなく紹介します。
最後まで読むと、自動車のDIY補修を成功に導くための「パテ選び完全ガイド」が手に入ります。パテ1つで、修理の価格も仕上がりも大きく変わるからこそ、放置せず、今こそ正しい知識を手に入れてください。
板金塗装で安心を提供 – Body Shop Honda
Body Shop Hondaは板金塗装の豊富な実績があります。事故や傷でお困りの際は、お気軽にご相談ください。丁寧で確かな技術でお客様の車を元通りに修復します。板金塗装は、見た目の美しさだけでなく、車の耐久性も考慮した仕上がりを提供し、長期的な保護を実現します。お客様の大切なお車を、より快適に、より安全にお乗りいただけるようサポートいたします。さらに、細かな点まで行き届いたサービスを心掛け、迅速な対応をお約束します。どんな小さな修理でも対応しておりますので、ぜひご相談ください。
Body Shop Honda |
住所 |
〒566-0052大阪府摂津市鳥飼本町2丁目9-62 |
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板金塗装におけるパテの基礎知識と役割とは?初心者でもわかる車修理の基本
パテとは?板金塗装で使う理由と使わない選択肢の比較
自動車の板金塗装において、パテは欠かせない材料のひとつです。事故や擦り傷、凹みといった車体の損傷を補修する際、凹凸を平らに整えるために使用されるのが「パテ」であり、塗装の仕上がりを左右する非常に重要な工程でもあります。
まず、パテとは何かを理解するために、その基本構造と使われ方について説明します。板金塗装で使われるパテには主に「ポリパテ」や「エポキシパテ」など複数の種類が存在し、傷の深さや素材、作業内容に応じて使い分けがされます。中でもポリパテは最も一般的で、研磨性に優れ、硬化時間も早いため、プロの現場では多用されています。
以下の表は、主な板金パテの種類と特徴をまとめたものです。
パテの種類 |
主な用途 |
特徴 |
適合素材 |
硬化時間 |
研磨性 |
ポリパテ |
凹み補修 |
速乾性・研磨しやすい |
鉄・アルミ・樹脂 |
約20〜30分 |
高い |
エポキシパテ |
接着補強 |
密着力が高い・防水性 |
金属・プラスチック |
約30〜60分 |
中程度 |
金属パテ |
強度補修 |
硬度が高く衝撃に強い |
鉄・ステンレス |
約60分以上 |
低い |
このように、作業内容によって適切なパテを選定することが、補修作業の成功に直結します。では、なぜ板金塗装でパテが使用されるのでしょうか。その理由は以下のように整理できます。
- 凹みや傷を滑らかに整える
- 塗装の密着性を高める
- 凹凸のある部位に均一な仕上がりを実現する
- 塗膜のひび割れや剥がれを防ぐ
一方で、「板金パテを使わない」という選択肢もゼロではありません。パテを使わずに金属を直接叩き出し、溶接や引き出しで原型に近づける「無パテ板金」と呼ばれる技術もあります。これは高度な技術力を要し、仕上がりは自然で強度も高い反面、作業時間が長くコストが高くなるのがデメリットです。
以下に、パテ使用と非使用の比較を整理します。
項目 |
パテ使用 |
パテ不使用(無パテ板金) |
作業スピード |
速い(硬化時間含めて短時間) |
遅い(整形に時間がかかる) |
仕上がり |
滑らかで塗装に最適 |
熟練技術が必要で仕上がり差が大きい |
コスト |
比較的安価 |
高価(作業時間・技術料が上乗せ) |
強度 |
パテによる補強が必要 |
板金素材のままなので高い |
向いている症例 |
小〜中程度の凹み・傷 |
ごく軽微な変形や高級車の修理 |
これらを踏まえると、多くの自動車補修では「コスト・時間・仕上がり」のバランスからパテの使用が最適な選択肢となります。特に、バンパーやドアの小さなへこみ、ボディラインの補正などにはポリパテが用いられ、硬化剤を混ぜて数十分で硬化、サンドペーパーでの研磨により滑らかな下地を形成することが可能です。
ただし、パテの厚塗りや適合しない素材への使用は、施工後の収縮や剥がれといったトラブルを招く恐れがあります。これを防ぐためには、「適切な使用量」「表面の脱脂・プライマー処理」「硬化時間の厳守」といった基本工程を徹底する必要があります。
また、ホームセンターなどで販売されているDIY用のパテも多数ありますが、プロが使用する業務用の製品と比較すると、密着性や硬化後の強度に差があり、長期的な仕上がりに不安が残るケースもあります。
パテ選びの際には、以下のような観点で判断するのが適切です。
- 補修する素材(鉄・樹脂・アルミなど)
- 凹みや傷の深さと範囲
- 使用環境(屋外・屋内、湿度や温度)
- 仕上げの塗装方法(ウレタン・ラッカーなど)
このように、板金塗装におけるパテの使用は、仕上がりの美しさだけでなく、塗装の耐久性や補修後の満足度に大きく関わる重要な要素です。初心者であっても、「なぜパテを使うのか」「どのような選択肢があるのか」を知ることで、より納得のいく修理サービスを選べるようになります。
パテ処理なしで塗装するとどうなる?プロが明かす実例とデメリット
パテ処理を行わずに板金塗装を施すと、見た目だけでなく機能面にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。実際に発生した施工ミスの事例や、それによって発生した追加費用・再修理のリスクを通して、パテ処理の重要性を詳しく解説します。
まず結論から述べると、パテ処理なしでの塗装は「下地が不完全なまま仕上げる」ことに等しく、完成直後は美しく見えても、数週間〜数ヶ月で不具合が表面化するリスクが極めて高くなります。
以下は、パテ処理を省いたことで発生しやすい主な問題点です。
- 凹みの影が浮き出てくる
- 塗膜が均一にならず色ムラが発生
- 密着不良による塗料の剥がれ
- 雨水などによるサビの発生
- 外気温変化による塗膜の割れや膨張
これらは、板金後の表面が滑らかに整えられていないために起こる症状で、特に「凹み跡が見える」「反射でゆがんで見える」といったトラブルは、塗装の光沢があるほど顕著になります。
以下は、実際に報告された施工トラブルの一例を示す表です。
事例 |
トラブル内容 |
原因 |
バンパーの塗装後に剥がれ発生 |
表面がベロッと剥がれ落ちた |
下地処理不足・密着不良 |
ドアの凹みに影が残る |
光を当てると波打つ影が見える |
パテ未使用で凹み未処理 |
ボンネットの色ムラ |
部分的に色が違って見える |
表面の均一性欠如 |
特に注意すべきは「再修理」のコストと時間です。一度塗装をやり直すには、旧塗膜の剥離から再度の下地処理、塗装工程の繰り返しが必要になり、費用だけでなく数日〜1週間以上の車両預かりが発生します。
また、これらの施工ミスは素人目には分かりにくく、納車後に気づくことがほとんどです。時間が経過してからクレームを申し立てても、「外的要因」や「経年劣化」として取り合ってもらえないケースもあるため、施工前の見積もり時に「下地処理(パテ工程)」の有無をしっかり確認することが大切です。
以下のチェックリストは、板金塗装前に確認すべきパテ処理に関するポイントです。
- 凹みやキズの処理方法にパテを使用するか明記されているか
- 使用するパテの種類(ポリパテ・エポキシなど)と硬化時間の説明があるか
- パテ処理後の乾燥・研磨・脱脂などの工程が工程表に含まれているか
- 「無パテ」で施工する場合、その理由とリスクの説明があるか
業者選びにおいても、「料金が安いから」といった理由だけで決めてしまうと、後に余計な出費や手間がかかる可能性があります。板金塗装は外見だけでなく、安全性や耐久性にも関わる大切な工程です。プロの技術と正しい材料選定が合わさって、初めて満足のいく仕上がりが実現されるのです。
車の美観と資産価値を守るためにも、「パテ処理の有無」は塗装品質の分かれ道です。しっかり確認し、安心できるショップを選ぶことが、後悔のない修理につながります。
板金塗装に使われるパテの種類と違いを徹底解説!
ポリパテとは?初心者向け定番タイプの特徴と注意点
板金塗装におけるパテ処理の中でも、最も使用頻度が高いのがポリパテです。ポリエステル樹脂をベースにしたこのパテは、自動車の軽度な凹みやキズを整えるために多くの現場で使われており、その作業性とコストパフォーマンスの高さから、初心者でも扱いやすいとされています。
ポリパテの最大の特徴は「研磨性の高さ」と「硬化速度の速さ」です。通常、硬化剤と主剤を2対1の比率で混合し、気温20度前後で約20〜30分で硬化を開始します。これにより、短時間で次の工程に移れるため、作業効率が非常に高くなります。
ポリパテの代表的な特徴を以下に整理します。
項目 |
特徴 |
用途 |
小〜中程度の凹み・キズ補修 |
主成分 |
ポリエステル樹脂 |
硬化時間 |
約20〜30分(気温20度基準) |
研磨性 |
非常に高い |
適合素材 |
鉄、アルミ、樹脂系素材(バンパーなど) |
価格帯 |
比較的安価で手に入る |
色 |
グレー、ベージュなどが一般的 |
ポリパテは塗装前の中間層として活躍しますが、万能ではありません。注意すべきポイントとして以下のような事例が挙げられます。
- 厚塗りしすぎると内部硬化不良を起こしやすい
- 表面硬化と内部硬化に時間差があり、早期に研磨すると陥没の原因になる
- 硬化剤の混合比が適切でないと、硬化不良やヒビ割れの原因になる
- 夏場や湿度の高い日は硬化が早くなりすぎて施工にムラが出る
初心者が施工する場合、混合の手順や硬化時間の管理がやや難しいと感じることがあります。とくに「混合不足」「硬化剤の量を目分量で適当にする」といった初歩的ミスは、仕上がりの品質に大きく影響します。
また、ポリパテは吸水性があるため、完全硬化後には必ず防水性の高いサフェーサーでコーティングすることが重要です。この処理を怠ると、後から水分を吸い込み、塗膜が浮く・剥がれるなどのトラブルに繋がります。
選定時には、用途別に「粗仕上げ用」「仕上げ用」などグレードが分かれているため、以下の基準で使い分けましょう。
- 凹みが大きい箇所→目止め性の高い粗仕上げ用ポリパテ
- 最終研磨前→伸びがよく滑らかな仕上げ用ポリパテ
このように、ポリパテは取り扱いやすく、コスト面でも優れたパテですが、施工手順を間違えると不具合が生じやすいため、取扱説明書の確認と適正な施工が何より重要です。塗装の美しさと耐久性を高めるためにも、基礎知識を持って使用することが成功の鍵となります。
ラッカーパテはなぜ仕上げに向いているのか?
ラッカーパテは、ポリパテとは異なり、主に仕上げ段階で使用される補修材です。非常に粒子が細かく、研磨後の滑らかさが際立つことから、「塗装前の最終調整用パテ」としての役割を担っています。軽微なキズやピンホール(小さな穴)を埋める目的で使用されることが多く、特に高級塗装を必要とする車両や外車、カスタムカーなどにおいて重宝されています。
ラッカーパテの特徴を以下の表に整理します。
項目 |
特徴 |
用途 |
微細なキズ・ピンホールの最終仕上げ |
主成分 |
ニトロセルロース系樹脂(ラッカー) |
硬化方法 |
揮発乾燥(空気中の乾燥) |
研磨性 |
非常に高い・短時間で研磨可能 |
適合素材 |
金属・下地サフェーサー層 |
吸水性 |
ほとんどなし(ただし耐久性は低め) |
使用タイミング |
ポリパテやサフェーサー後の最終段階 |
ラッカーパテは非常に速乾性に優れており、気温20度前後で約10〜15分程度で乾燥が完了します。乾燥後は柔らかく、サンドペーパーでの研磨がスムーズに行えるため、塗装前の最終仕上げ工程に最適です。
一方で、施工にあたって注意が必要なポイントもあります。
- 厚塗り不可、0.5mm以上塗ると割れや剥がれが起こる
- 主剤のみの製品が多く、揮発成分に依存するため密閉環境では乾燥が遅れる
- 耐候性・防水性がないため、仕上げ後は速やかに塗装を施す必要がある
- 誤って広範囲に使用すると、塗膜トラブルの原因になる
ラッカーパテを使用する際は、あくまで「最終仕上げ」専用であるという認識が大切です。ポリパテやサフェーサーである程度整えたあと、微細な表面の粗さや塗膜の透け対策として使われるため、単独使用ではなく複数の工程の中で位置づける必要があります。
施工の流れとしては以下のようになります。
- 凹み補修(ポリパテ処理)
- 表面整形・研磨
- サフェーサー吹き付け・研磨
- ラッカーパテで微調整
- 上塗り塗装
この工程の中で、ラッカーパテは「塗膜の質感・均一性」を決定づける要となります。特にメタリック塗装やソリッドカラーの高級仕上げにおいては、この工程の有無が「映り込みの美しさ」に直結します。
そのため、見た目の完成度を求めるユーザーや、業者としての技術レベルを問われる案件では、ラッカーパテの選定と施工は非常に重要な意味を持つのです。
ウレタン・エポキシパテはどう違う?業務用での使用実例と比較
ウレタンパテとエポキシパテは、ポリパテ・ラッカーパテと比べてさらに高度な性能を備えた業務用パテです。主にプロ仕様での使用が想定されており、「強度・密着性・耐久性」に優れているため、過酷な環境下でも長期的に安定した仕上がりを実現します。
それぞれの特徴を比較した表は以下の通りです。
パテ種類 |
主成分 |
硬化時間 |
主な用途 |
特徴 |
適合素材 |
ウレタンパテ |
ウレタン樹脂 |
約1〜2時間 |
高強度部位の補修 |
弾性があり追従性が高い |
鉄、アルミ、プラ |
エポキシパテ |
エポキシ樹脂 |
約4〜6時間 |
精密修理・高耐久補修 |
接着力・防水性に優れる |
金属、FRP、カーボン |
ウレタンパテは、主にバンパーやサイドモールなど可動性のあるパーツに適しており、素材の伸縮や振動に追従する柔軟性を持っています。衝撃吸収性にも優れており、冬場や高温多湿環境でも性能が安定しています。ただし、硬化に時間がかかるため、即日施工には向きません。
一方、エポキシパテは密着力と防水性に特化しており、錆びやすい部分や水分が浸透しやすい部位(フロアパネル・トランク周り)に重宝されています。高級車や業務用車両の構造補修では欠かせない存在であり、強度が求められる溶接部の埋め補強などにも使用されます。
以下は、実際の施工現場における使用実例です。
- ウレタンパテ商用バンのバンパー補修。走行中の衝撃にも剥がれず柔軟に対応。
- エポキシパテ外車(ドイツ車)のサイドシル修理。サビ防止のため、下地にエポキシを使用し密着性を確保。
これらのパテは価格も高く、DIYではあまり使われない反面、プロの業者が高品質な補修を提供するためには欠かせない素材です。選定の際には施工環境と目的を明確にし、それぞれの性能を最大限活かせるような使い分けが必要になります。
施工技術の高い工場や板金専門店では、ポリパテ→ウレタン→ラッカーという多層構造で補修することもあり、塗装の完成度・耐久性ともにワンランク上の仕上がりが実現されます。これが、プロの技術が信頼される所以でもあります。
板金パテの使い方・施工手順を完全ガイド!DIYでも失敗しない方法
パテ施工に必要な道具と準備は?ヘラ・パテ板・サンドペーパーなど
板金パテによる補修をDIYで行う際、仕上がりを大きく左右するのが「道具の選定と準備」です。どんなに良質なパテを使っても、適切な道具がなければ、思い通りの形に仕上がらず、後の塗装も美しくなりません。ここでは、パテ施工に必要な基本アイテムと、それぞれの用途、推奨される製品や購入先まで詳しく解説します。
まず、基本的な道具を以下に整理します。
道具名 |
用途 |
推奨の特徴 |
備考 |
パテベラ(ヘラ) |
パテを塗り広げる |
ステンレス製、サイズ違いを用意 |
柔らかい素材の方が細かい面に対応しやすい |
パテ板 |
パテを混ぜる台 |
プラスチック製・平滑な表面 |
汚れが付きにくい素材が理想 |
サンドペーパー |
パテ研磨 |
番手は80〜400を用意 |
番手の違いで用途を使い分ける |
マスキングテープ |
周辺保護 |
耐溶剤・伸縮性のあるタイプ |
塗装境目の処理にも活躍 |
シリコンオフ(脱脂剤) |
油分・汚れ除去 |
揮発性が高く速乾性あり |
パテ施工前の必須アイテム |
軍手・保護メガネ |
安全対策 |
滑りにくい素材が理想 |
粉塵対策にも有効 |
これらの道具は、ホームセンターやカー用品専門店、またはオンラインストア(Amazon・モノタロウ・楽天など)で購入可能です。特にDIY初心者には、以下のような「スターターキット」もおすすめです。
- パテ用ツールセット(ベラ大小・パテ板・ペーパー付き)
- サンドペーパーアソートセット(80・120・240・400番などが各枚数入り)
- シリコンオフ スプレータイプ(300ml)
パテ施工は、整備環境によって結果が大きく変わるため、屋外で作業する際は風・湿度・直射日光にも配慮しましょう。また、作業スペースは水平な場所を確保し、ホコリが舞いにくい場所が理想です。準備段階での手抜きは、仕上がりの美しさだけでなく、耐久性や塗膜の密着にも悪影響を及ぼします。
加えて、作業効率を高めるポイントは以下の通りです。
- ヘラは1回ごとに清掃し、乾いたパテを残さない
- パテ板は白色や透明だと混合具合が見えやすくおすすめ
- 研磨用ブロック(あて木)を使用すると均一に削れる
- サンドペーパーの番手は工程によって段階的に変える
このように、道具を揃えることは板金パテ施工の第一歩です。使い慣れたアイテムでも、用途や目的に応じて選び直すことで、DIYでもプロ並みの仕上がりを実現することが可能です。
パテ塗布から乾燥・研磨までの工程と時間配分
パテ作業は、「塗る・乾かす・削る」というシンプルな工程で構成されますが、その一つひとつに専門的な手順と時間配分が必要です。DIYでありがちな失敗は、この各ステップのタイミングを誤ってしまうことで起こります。以下では、作業フローを明確に解説し、初心者でも失敗しにくいパテ施工を可能にします。
まずは、全体の流れを以下の通り把握しましょう。
工程 |
作業内容 |
所要時間の目安 |
脱脂・清掃 |
油分や汚れを除去 |
5分 |
パテ混合 |
主剤と硬化剤を均一に混ぜる |
1〜2分 |
パテ塗布 |
ヘラで凹みに充填 |
5〜10分 |
乾燥 |
自然硬化(ポリパテ) |
約20〜60分 |
研磨(一次) |
粗削り(#80〜#120) |
10〜20分 |
研磨(二次) |
仕上げ削り(#240〜#400) |
10〜30分 |
このように、パテ施工全体で約1.5〜2時間程度が必要となります。ただし、乾燥時間は気温や湿度によって大きく左右されるため、以下の条件にも注意が必要です。
- 冬場(10度以下)硬化に1時間以上かかることもある
- 夏場(30度以上)硬化が早く、作業にスピードが求められる
- 湿度70%以上硬化不良や表面のベタつきが起こりやすい
次に、各ステップにおける作業ポイントを補足します。
- 脱脂・清掃
パテの密着性を左右する最重要工程です。脱脂剤(シリコンオフ)を布に吹きかけ、作業面をしっかりと拭き取ります。油分や水分が残っていると、施工後に剥がれや浮きの原因となります。
- パテの混合
ポリパテなどは主剤と硬化剤を混ぜるタイプが一般的です。比率は商品によって異なりますが、通常は「主剤100に対し硬化剤2〜3」が目安。ヘラで「マーブル模様」が完全になくなるまで、練り合わせましょう。
- 塗布作業
ヘラを使って凹みに対してパテを盛ります。一度で仕上げようとせず、薄く2〜3回に分けて塗るのがコツです。厚塗りをすると内部が乾燥しきらず、後の研磨で凹みや陥没の原因になります。
- 乾燥時間の管理
完全硬化を待たずに研磨すると表面だけが固く、中身が柔らかいため、削ったときに表面が崩れやすくなります。手で触って「指にくっつかない」「表面に弾力がある」ことを確認してから次の工程に進みましょう。
- 研磨作業
一次研磨では#80〜#120番のサンドペーパーを使って形状を整えます。広い面では研磨ブロックを使い、平滑性を保ちましょう。続いて、#240〜#400番に切り替えて、滑らかな仕上がりに整えます。
また、研磨工程においては、以下のような道具が補助的に活躍します。
- ダストブロワー削りカスの除去
- LEDライト凹凸の確認用
- パテ厚チェッカー仕上がり高さの測定
これらの道具を適切に使いこなすことで、均一な仕上がりと塗装前のベース面として理想的な状態を作り出せます。
DIYでのパテ施工は、正確な手順と適切な時間管理ができれば、プロに匹敵する仕上がりも可能です。とくに乾燥時間と研磨タイミングの見極めが成功の鍵を握りますので、焦らず丁寧に進めることが、美しい仕上がりへの第一歩です。
凹みの深さ・素材別で異なるパテの選び方と適用範囲
深い凹み・穴埋めに最適な高強度パテはこれ
車のボディにできる凹みや穴の大きさに応じて、使用すべきパテの種類は大きく変わります。特に「深い凹み」や「貫通穴」の修復には、通常のポリパテでは強度が不足しやすく、施工後のひび割れや剥がれといったトラブルが起きやすくなります。そのため、高強度タイプのパテを選定することが重要になります。
まず、深い凹みや穴を補修する際に重視すべきポイントは以下の通りです。
- 塗布可能な厚み(1回で盛れる最大層厚)
- 硬化後の強度と柔軟性のバランス
- パネルとの密着性
- 加工性(サンディングしやすさ)
高強度タイプのパテは、主にポリパテの中でも「ファイバーパテ」「エポキシ系パテ」などに分類され、これらは強度と密着性に優れており、パネルの振動や熱変化にもしっかり追従するため、凹み修復の信頼性が大幅に向上します。
以下は凹みの深さや部位ごとに最適なパテを比較した表です。
パテの種類 |
適用部位 |
塗布厚の目安 |
硬化後の強度 |
加工性 |
ファイバーパテ |
ドア下部・フェンダー |
5mm以上 |
非常に高い |
やや難 |
エポキシパテ |
ボンネット・サイド |
4mm程度 |
高い |
中程度 |
多用途ポリパテ |
ルーフ・トランク |
3mm以下 |
中程度 |
非常に良好 |
軽量ポリパテ |
浅い凹み |
2mm程度 |
やや低い |
非常に良好 |
特にファイバーパテは、ガラス繊維が混合されており、従来のポリパテよりも補強性が高いため、腐食が進行しやすいフェンダーやドア下部のような部分にも適しています。一方で、硬化後の研磨がやや難しくなるため、粗仕上げとして用い、その上から仕上げ用のパテ(ラッカーパテなど)を使用することで美観と機能性を両立できます。
また、冬場など気温が下がる環境では硬化時間が延びる傾向があるため、季節や作業環境に応じてパテの種類を選ぶことも重要です。例えば、エポキシ系パテは温度変化に強いため、作業環境が一定でない場合にも安定した性能を発揮します。
補修後の強度が不足すると、走行中の振動や再塗装時の負荷で亀裂や剥がれが生じるリスクがあるため、価格や扱いやすさだけでなく、用途に最も適した性能を持つパテを選ぶことが求められます。
プラスチック・樹脂素材に使えるパテの特徴と選定基準
近年の自動車に多く使用されるバンパーやサイドモールなどの外装パーツには、ABS樹脂やポリプロピレン(PP)といったプラスチック素材が使われています。これらの素材に金属用のポリパテを使用すると、密着不良や早期剥がれといった施工不良の原因となるため、素材に適したパテの選定が必須です。
プラスチック素材に対応したパテには、主に以下のような特徴があります。
- 柔軟性が高く、素材のたわみに追従する
- 密着性を高めるためのプライマー併用が前提
- 熱膨張率が樹脂と近い成分で構成されている
密着性の高いパテを選ぶ際には、下地処理と併用する専用プライマーの使用も大切です。以下は代表的な素材別の適合パテの比較表です。
素材名 |
推奨パテ |
要プライマー |
仕上がりの柔軟性 |
ABS樹脂 |
ABS専用パテ(柔軟性あり) |
必要 |
高い |
ポリプロピレン |
PPプライマー+2Kパテ |
必須 |
中〜高 |
FRP(繊維強化) |
ポリパテ+トップ仕上げ |
任意 |
中程度 |
ABSやPPといった柔らかい素材は、走行中の振動や衝撃で変形しやすいため、硬化後にパリッと割れない柔軟性のあるパテを使う必要があります。また、下処理としての足付け(サンディング)を丁寧に行うことで、パテの食いつきを高め、長期的な耐久性にも優れた仕上がりが実現できます。
注意点として、パテ施工後に塗装を施す場合は、パテ自体の吸い込みを防ぐために「サフェーサー」を併用するのが一般的です。特にプラスチックパーツの場合、塗料の密着が不安定になりやすいため、素材ごとに専用の塗装工程も踏まえることで、完成度が格段に上がります。
また、業務用の現場では乾燥時間や強度を優先して2液性のウレタン系パテを使用するケースも多く、素人のDIY施工とは異なる選定基準が用いられています。自分で作業する場合は、取り扱いやすさと安全性を重視した製品を選びましょう。
まとめ
自動車の板金塗装におけるパテの使い方や選び方は、補修作業の成否を大きく左右します。特にDIYでの補修を考える方にとっては、素材との相性や硬化時間、研磨性などの違いを理解しないまま作業に取りかかることで、仕上がりに不満が残るケースも少なくありません。
今回の記事では、凹みの深さや補修箇所の素材に応じたパテの種類を紹介しました。金属パネルには高強度タイプ、樹脂製バンパーには専用のポリパテが推奨され、塗装との密着性や仕上がりにも影響します。さらに、作業工程で重要となる乾燥時間や比率調整、塗布のコツなど、見落とされがちなポイントも詳しく解説しています。
また、DIYでは対応が難しいケースや、プロの設備と技術の違いにも触れました。特に塗装ブースや専用調色機器を用いた板金塗装は、仕上がりの品質と耐久性に大きな差が出るため、場合によっては業者への依頼が賢明です。施工に失敗した場合、やり直しにかかる費用が倍以上になることもあり、適切な判断が損失回避につながります。
最終的に重要なのは、補修目的に合ったパテと道具を選び、工程を正しく理解して取り組むことです。自身でできる部分とプロに任せるべき部分を見極めることが、愛車の美観と安全性を守る第一歩になります。適切な知識があれば、無駄な出費を避けながら納得の仕上がりを実現することも可能です。
板金塗装で安心を提供 – Body Shop Honda
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よくある質問
Q. DIYで板金塗装パテを使うとき、失敗しやすいポイントはどこですか?
A. パテ作業での失敗の多くは「硬化時間を守らずに研磨してしまう」「塗布の厚さにムラがある」「脱脂や下地処理が不十分」などに集中します。例えばポリパテは硬化剤との比率を誤ると収縮やひび割れの原因になり、修理後に再施工が必要になることもあります。乾燥が不十分な状態で塗装すると、表面の密着が悪く仕上がりが悪化し、修理価格が約2倍になるリスクもあるため、手順や使い方には細心の注意が必要です。
Q. 樹脂バンパーの補修にはどの種類のパテが適していますか?
A. プラスチックや樹脂製のバンパーには密着性に優れたウレタンパテや専用のエポキシ系パテが適しています。一般的なポリパテは密着不良や剥がれの原因になりやすく、補修後の耐久性に不安が残ります。塗装との相性や収縮性も考慮すると、速乾性と柔軟性を併せ持つパテが理想的で、密着力の高いプライマーの併用も有効です。用途別パテの選び方を間違えると修理のやり直しやパーツ交換につながる可能性があります。
Q. 専門業者に板金塗装を依頼する場合の料金相場は?
A. 板金塗装を業者に依頼する際の相場は、補修範囲と凹みの深さによって大きく異なります。軽微な擦り傷やへこみであれば1箇所あたり8000円から15000円程度で対応可能ですが、バンパー全体やドアパネルの大きな凹み修理では30000円以上かかることもあります。特に塗装ブースを用いた高精度な調色作業や下地処理が必要な場合、作業時間や使用する塗料の種類によって価格が上昇します。DIYと比較すると高く見えるものの、仕上がりや耐久性を考慮すれば費用対効果は十分高いと言えます。
店舗概要
店舗名・・・ Body Shop Honda
所在地・・・〒566-0052 大阪府摂津市鳥飼本町2丁目9−62
電話番号・・・ 072-653-5060